サバティカル報告

サバティカルを取得して

石川照子

 2022年度前期、サバティカル(研究休暇)を取得することができました。実は、比較文化学部では前例がなく、私が最初の該当者となるということで、事前に他学部の例を調べたりして実現することができたのです。
 比較文化学部は大妻の中で一番専任教員の少ない学部ということもあり、在外・国内研修については既に多くの教員が取得していますが、サバティカルまで実施する人的余裕がなかったことが、今まで一人も取得していなかった大きな理由であると考えています。
 私自身はサバティカル期間中も3年・4年ゼミを担当していたため、毎週出校していました。本来なら長期の休暇を利用して研究対象である中華圏での資料調査を行うところだったのですが、新型コロナの感染拡大という事態に直面して、それをかなえることはできませんでした。しかし、科研費プロジェクトの研究会に精力的に参加したり、国内調査などに時間を費やすることができたことは、むしろ幸いであったと言えます。また、自身の研究の今後の方向性や内容について考える時間と心の余裕を持てたことは、何より貴重であったと感じています。
 「教員近況」でも書きましたが、サバティカル期間中には2つの科研費研究グループにおいて、①日中戦争前後における日中両国の女性の交流と葛藤、②作家田村俊子と雑誌『女声』に関する共同研究に取り組みました。また、編者の一人としてこの数年取り組んできた、『論点・ジェンダー史学』(ミネルヴァ書房)が今年度末に刊行を予定していますが、その作業にも多くの時間を費やすことができました。
 幸い、来年度、再来年度と続いて学部の同僚教員がサバティカルを取得することが決まっています。特に若い教員のみなさんには、改めて自分の研究をみつめることができるこのサバティカルという機会を、是非積極的に取得して頂きたいと希望します。
 最後に、貴重なサバティカルの機会を与えて下さった大妻学院に対し、改めて御礼を述べたいと思います。