行田ゼミ

3ラウンド・システム理論に基づく英語学習教材
―映画『僕のワンダフル・ジャーニー』を素材として―

佐野優姫

 本論文では、竹蓋幸生千葉大学名誉教授が提唱した3ラウンド・システム理論の概要を紹介したうえで、学習にふさわしい映画を素材として選定し、この理論に基づいて日本人英語学習者に向けた英語教材を作成した。
 2020年に小学校で新しい学習指導要領が適用されたことにより、日本の英語学習が全面的に強化された。グローバル化が進む一方で将来活躍できる人を増やすことが目的である。だが、小学校から大学まで英語を学んでいても忘れていく一方で身に付いていないのが現状である。竹蓋は、日本の英語学習は見直しが必要だと考え、3ラウンド・システム理論を提唱した。見直しの理由はいくつかある。まず、単元ごとに分けて学習するため、全て学習し終わった後に復習しても忘れてしまっていることが多い。だが、3ラウンド・システム理論を使うことで、単元の中でも細かく3つに分けて学習することで毎回の授業で復習から入ることができる。繰り返し学習をすることで身に付けることができる。また、英語を得意とするわけではなくても、洋楽を聴いたり洋画を観たりすることが好きな人もいる。英語の学習が苦手な人でも、映画を観たり音楽を聴いたりすれば飽きずに学習をすることができる。机に座り英語の文法問題をひたすら解くのではなく、好きな映画や歌を楽しみながら学習できる。そうすることで学習意欲が下がらず学習を続けることができる。そのため今回は、この理論に基づいて『僕のワンダフル・ジャーニー』という映画を素材として、日本人の大学生向けに英語教材を作成した。
 第1章では、3ラウンド・システム理論の概要を紹介し、この理論に基づいて作成した教材(第3章で提示)についても説明をする。第1節では、竹蓋による著書および論文などを引用しながら、3ラウンド・システム理論の目的と概要について簡単に紹介する。第2節では、教材作成にあたり素材とした映画の選定理由を説明する。第3節では、この3ラウンド・システム理論を使って作成した教材の情報群がどのように提示されているのかということについて説明する。
 第2章では、教材の素材とした映画『僕のワンダフル・ジャーニー』について説明する。 第1節では、映画のあらすじを紹介する。第2節では、主な登場人物を紹介する。第3節 では、その登場人物を演じた俳優について紹介する。
 第3章では、3ラウンド・システム理論に基づいて作成した教材を提示する。教材は2種類作成した。