卒業論文中間発表会感想

阿部ほの花「不貞行為を正当化する人の主張」に対する感想

村井麻歩

 阿部さんは、友人から所帯持ちの方と愛人関係であると告げられたことをきっかけに、友人からそのことについて告げられた際になぜ自分はショックを受けたのか、また、不貞行為をしている人はなぜ不貞行為を公表してしまうのか疑問に思い、文化的な側面から、不貞行為を正当化する人の主張を考察していました。
 私は阿部さんの発表で、恋愛=結婚=出産という世間に広く浸透している価値観が「ロマンティック・ラブ・イデオロギー」という思想によるものだということを知りました。本来は、恋愛・結婚・出産は全てイコールで繋がらないものということに驚きました。この「ロマンティック・ラブ・イデオロギー」が私たちの婚姻や恋愛の考え方に影響を与えているため、不貞行為をする人に対してショックを受けるのではないかと阿部さんは考察していました。
 また、不貞行為をなぜ公表してしまうのかという疑問に対しては、映画やドラマ、小説などで不貞行為が多く取り上げられ、世間に容認されていることから公表しても理解してくれるだろうと考えているためか、不貞行為をしている本人も罪の意識があり、信頼できる人と罪を共有することで、自身が持つ罪の意識を軽くしたいという思いから第三者や職場、SNSなどで公表してしまうのではないかと考察していました。
 恋愛結婚が主流の現代で、愛し合った人と結婚したのにもかかわらず、なぜ不貞行為をしてしまうのか、私も疑問に思いました。結婚することによって社会的に認められる風潮や、結婚していない人や離婚した人に対し、「なにかこの人に難があるのではないか」といったような世間の悪いイメージが、恋愛結婚が主流である現代でも、妻や夫以外の人と関係を持ってしまう、不貞行為に繋がっているのではないかと考えました。
 不貞行為が恋愛感情から起こるものなのか、それとも罪の意識を認識しスリルとして楽しんでいるのか、罪だと認識していないのか。または全く違う感情から起こるものなのか、当事者の心情を言葉で説明するのはとても難しく、不貞行為をしている本人も本当はよくわかってはいなのではないかと感じました。そのため、不貞行為を正当化する人の主張を、第三者の視点から考察する阿部さんの論文を大変興味深く感じました。