留学報告会

イタリア文化研修

佐藤怜

 2024年3月4日から3月16日までの13日間で、比較文化学部主催のイタリア文化研修に参加した。この研修では、イタリアのローマ、フィレンツェ、ベネチアの3都市を回った。
 私たちは初めの6日間、ローマのトラステヴェレという地区に滞在した。この地域はローマの中心地にアクセスしやすく、地元の人が多く生活している。そして、ローマの中でもレストランのクオリティが高い地域として知られている。レストランのテラス席では、日中からお酒を楽しむ地元の人々で溢れ、広場には夜遅くまで地元の学生たちが集う。ここで私がもっとも驚いたのは、朝食のカフェ文化だ。イタリア人は朝のひと時をカフェで過ごすということは下調べの段階で知っていたが、カフェにはサラリーマンだけでなく家族連れも多く、人との時間を大切にする心温まる文化を感じられた。日本よりも時間がゆっくりと進むように感じられたトラステヴェレは、3都市の中で最も地元の人たちの活気で溢れる地域だった。
 ローマ滞在中の大きなイベントを3つ選ぶと、ラテン語学校のアカデミア・ビバリウム・ノヴムへの訪問、考古学者のメアリー・ジェーンさんと共に巡った考古遺跡のオスティア・アンティカ、ローマ日本文化会館が挙げられる。
 1つ目のラテン語学校では、実際にこの学校に通っている学生の楽器の演奏や歌で始まり、校舎や庭園の案内、ラテン語の学習など、普段はできない様な数々の貴重な体験をした。ランチは学食をご馳走になり、歳の近い学生と自国の文化について語り合った。とても心に残る時間だった。
 2つ目のオスティア・アンティカでは、事前に3時間ほどメアリーさんに遺跡の講義をしていただいたので、遺跡の歴史や見どころなどを理解した状態で臨むことができた。この遺跡は知名度が高いわけではないが、保存状態良くて緑も多く、古代劇場やモザイク、当時使用されていたキッチンなども確認することができた。
 3つ目のローマ日本文化会館では、日本語を練習しているイタリア人学生との交流をした。ここには独学で数年日本語を勉強したり、ローマ日本文化会館で日本語を学んだりしている方がおり、彼らからは日本の文化に対する熱意が感じられた。そんなプラスのエネルギーを持つ方々との交流を通し、自分もやりたいことに真っ直ぐ向き合っていこうと思えた。
 2都市目のフィレンツェは、有名ブランドのブティックやおしゃれなレストランが立ち並び、ローマやベネチアと比べると、街全体として上品な印象を受けた。街のシンボルであるサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂はゴシック様式の建物であり、とても緻密な造りに圧倒された。ウッフィツィ美術館では、ルネサンス期を代表するメディチ家の膨大なコレクションの数々を堪能した。ボッティチェリやミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチなど教科書に掲載されている名画を見た時の衝撃と感動は、今でも忘れられない。