本論文の目的は、1970年に放送された「ありがとう」第1シリーズを通じて、半世紀前の日本の性別役割分業意識を明らかにし、その結果について考察することにある。
第1章では、日本におけるホームドラマについて述べていく。具体的には、アメリカのホームドラマ作品が日本のホームドラマに与えた影響から始まり、日本のホームドラマの歴史を辿りながら、最後に「ありがとう」第1シリーズが日本のホームドラマにおいてどのような作品であったかを推察する。
第2章では、『ありがとう』第1シリーズのセリフを考察する。具体的には、「女性の警察官は前線で働けないのか」「保育士は女性だけがやるべき仕事なのか」のような、女性と男性、それぞれに求められた“らしさ”のあるセリフを挙げ、分析し検討する。