近年、⽇本のグローバル化が進む中、海外に派遣され、働く⽇本⼈が増えている。親と共に海外に住むことになった⼦供も多く、海外に住む⼦供たちも増加していると思われる。海外に住むことが決まった際、⼦供たちは通う学校を選択しなければならない。⽇本での⽣活とは全く異なる環境で過ごすため、学校選びは親や⼦供にとって⾮常に重要となる。海外に住む⼦供たちは現地校やインターナショナルスクール、⽇本⼈学校などから通う学校を選択する。⽇本⼈学校は⽇本政府が⽀援する在外教育施設の1つである。グローバル化が重要視される中で、親は現地の⾔語を学ばせたい、多様性のある環境で教育させたいといった理由から、⽇本⼈学校を選択しない家庭が増えている。こうした背景により海外に住む⼦供たちは増加しているのにもかかわらず、インターナショナルスクールや現地校と⽐べると⽇本⼈学校に通う⽣徒は減少している。これからの⽇本⼈学校は海外であることを活かし、現地校やインターナショナルスクールでは受けることのできない教育に取り組む必要がある。
本論⽂は⽇本⼈学校の重要性とこれからどうあるべきかについて論じる。また、筆者は2011年から2014年までパナマに設置される⽇本⼈学校に通った。当時のパナマ⽇本⼈学校の課題を考察し、現在の各国の⽇本⼈学校が⾏っている取り組みを研究することで課題に対する解決状況を研究する。
第1章では⽇本政府が設置している在外教育施設の⽇本⼈学校、補習授業校、私⽴在外教育施設それぞれの特徴や役割を論じる。そこから海外に住む⼦供たちの現状、現地校やインターナショナルスクールに通う原因を探った。現地校やインターナショナルスクールに通う⼦供たちは、語学⼒を⾝につけたいという理由だけではなく、国際結婚家庭や⻑期滞在者が増加している点からだと指摘した。その上で⽇本⼈学校は⽇本の⾔語や⽂化を学ぶだけではなく、海外で教育を受けることができるという利点を活かし、⽇本国内の学校ではできない教育に取り組むことが必要であることを明らかにした。
第2章では筆者が2011年から2014年まで通ったパナマ⽇本⼈学校の当時あった課題を振り返った。現地の⼈たちとの交流や、住んでいる国の⽂化や歴史を学ぶことが少ないなどの課題がいくつか⾒つかった。また同時期、学校に通っていた友⼈にインタビューを実施し、課題をより具体的に掘り下げ、新たに課題を発⾒することもできた。そこから2024年現在、各⽇本⼈学校が独⾃に⾏っている取り組みを調査した。各⽇本⼈学校では、現地の⽂化を学ぶための授業や、英語で指導を進めるイマージョン授業など、多くの学校が⼦供たちのために、新たな取り組みを実践していることがわかった。
研究から、海外に住む⼦供たちを取り巻く環境が変化していること、⽇本⼈学校の重要性について再確認することができた。その上で課題解決に向け多くの⽇本⼈学校が新たな取り組みを実施していることがわかった。海外に住む⼦供たちを取り巻く環境が変化する中、こうした新しい取り組みや対応を⾏うことで⽇本⼈学校の存在意義につながるだろうと考察する。