比較文化学会 会長挨拶

比較文化学会 会長挨拶

大妻女子大学比較文化学会 会長 貫井一美

 今年の比較文化学会は10月7日(月)に改修工事が終わった大妻記念講堂にて開催されました。学会は総会に始まり、留学・海外研修報告、卒業論文の中間報告会の順で進められました。それぞれの報告に関しての質疑応答ではそれぞれに活発な意見交換が行われました。残念ながら記念講演会は今年も見送りとなりました。外から講師をお招きして普段は接することのできない研究分野について講演いただくのは学生にとっても刺激になると考えます。比較文化学会は学部のアカデミックな側面を担っていることを考えるなら、学生に「研究」という観点を知ってもらうためにも講演会は毎回ではなくても学会プログラムの一つに考えておく必要があるのではないでしょうか。
 学会終了後には、昨年と同様に懇親会が開かれました。今年はアトリウムでスィーツ・ビュッフェの懇親会でした。昨年同様に学生と教員の和やかな交流の場となったようです。学会の前には新3年生ゼミ(比較文化演習)の説明会が行われましたので懇親会での先生方や先輩たちとの会話は現2年生にとって有意義なものとなったはずです。また、学部では3年ゼミと4年ゼミは合同ではなく、学年ごとにゼミが行われています。ですから先輩がどのような発表をし、レジュメを作成し、卒論テーマを探し、執筆していくのか、その過程を近くで見ることができません。大学での学びは年齢や学年を越えて、共に学び刺激しあえる場だと考えています。その意味で比較文化学会は、学年やコースを越えての広い繋がりを培う数少ない場と言えるでしょう。学部でできた縦糸や横糸の繋がりは、大学を離れ社会人になった時にも比較文化学部の卒業生を繋げてくれるはずです。女子大学の状況は楽観できるものではありません。比較文化学会は教員と卒業生の結びつきを在校生にまで繋げて行けるような関係性を構築し、社会に出ていった学生たちが「比較文化」という学問の有用性を認識できるよう、アカデミックな側面を担う場でありたいと思います。そしてそのアカデミックな環境の中で自らの興味を広げてユニークで自由な学びを実践していくことを願っています。
 比較文化学部の学生は入学と同時に全員が比較文化学会の構成委員ですが残念なのは、そのような認識がないことです。自分たちが比較文化学会の一員であることを知らない、いや、比較文化学会の存在やそれが何であるかを理解していない学生が少なくないという点です。先にも述べたように学会は学部のアカデミックな側面を担っており、学部生は全員が学会員であるにもかかわらずそのような理解が十分に伝わっていないように思います。学生も大学が研究の場であるとの意識を持ち、学会構成員の一人であるという自覚を持って、比較文化学会を有意義に利用してもらいたいと考えています。私たち教員もそのために学会とはどのようなものであるのかを十分に理解してもらうための努力をしていかなくてはなりません。
 今年度で比較文化学会会長の任期を終えることになります。学術委員会をはじめ、先生方、各学年の学生学会委員、助手の方々、その他多くの方々のおかげでこの2年間学会運営を行うことができました。改めてこの場をお借りして感謝申し上げます。ありがとうございました。来年の学会を楽しみに。