講演はIoannis Karras教授の自己紹介から始まった。Ioannis Karras教授はギリシャ共和国西部のコルフ島にあるイオニア大学にて異文化コミュニケーションを専門に研究し教えておられる。また幼少時代よりカナダとギリシャを行き来し、両国の異なる文化の中で育った。
文化については様々な学術的なアプローチの仕方があり、また一般社会の中での誤解(いわゆるステレオタイプなど)もよくあるが、Hofstede & Hallの研究によると思考やコミュニケーションのパターンは文化によって有意に左右される。そしてHofstede & Hallは、以下の指標: Power Distance(社会的序列);Uncertainty Avoidance(予測不可能性の回避);Motivation towards Achievement and Success(成功を追求する欲求);Collectivism/Individualism(集団主義対個人主義);Long Term Orientation(人間関係などの目標が長期か、短期か);Indulgence vs. Restraint(他人に甘いか厳しいか)が、数値的に文化を評価し比較するため有意義だとしている。ちなみにこれらの指標に基づいて日本文化とギリシャ文化を比較すると、前者のほうが成功を追求する欲求が高い、および人間関係などの目標が長期である、という明らかな特徴がある。他全ての指標では日本とギリシャは近いという結果が出ている。
ほか講演では、ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化、また言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションの比較も行われ、また中国、イタリア、ギリシャなどの異なるコミュニケーションスタイルやジェスチャーも動画を使って示された。講演は全て英語で行われたが、学生にはとてもわかりやすかったと好評であった。なお、本講演は2024年日本・ギリシャ文化観光年記念イベントとして企画されたこと、駐日在京ギリシャ大使館の多大な支援を受け実現したことを感謝の念をこめて付記する。