本論文の目的は、日本で非婚化や晩婚化が進んでいる背景から日本が抱えている問題を提起し、すべての人が自己の理想的なライフスタイルを送ることができるようにするため、どのように社会が変わっていくべきなのかを明らかにすることである。
1章では、日本の出生について考察する。日本の出生数や合計特殊出生率は減少傾向にある。働く女性が増加し、出産後も仕事は継続するものに変化した。しかし、育児と仕事の 両立は簡単なものではない。そのため、仕事や私生活を優先し、子どもを持つことを希望しない夫婦が増加している。未婚者や既婚者の希望子ども数の推移から、日本の少子化の背景について考える。
2章では、日本の結婚について考察する。日本では晩婚化や非婚化が進んでいる。以前は、結婚適齢期になれば結婚するのが当たり前だと考えられていた。若くして結婚し、子どもを産み、家庭に入るという人生を多くの日本人女性は歩んできた。しかし、現在結婚は必須ではなく、選択するものだという意識が強まってきている。そして、日本の中でも地域によって生活が大きく異なり、それが結婚や出産にも影響を与えている。そのような地域的特色を分析し、非婚化や晩婚化が進む背景について考える。
3章では、日本の今後の出産と新たなパートナーとの形について考察する。仕事と育児を両立するためには、育児休業制度(育休)の取得が不可欠である。しかし、女性の育休の取得は進んでいるが、男性は遅れている。男性の育休に注目し、職場での問題について言及する。子どもを希望するが健康や年齢の観点から難しい夫婦は、不妊治療を視野に入れる。 しかし、不妊治療には費用と時間がかかる。それらを解決するための支援制度にどのような課題があるのか考える。さらに、現在日本は結婚後夫婦の氏を統一する必要があり、多くの女性が夫の氏を称している。しかし、氏は個人のアイデンティティであるため、夫婦同姓に対して疑問を抱いている人も多い。そのような背景から、氏を統一することなく法律婚と同等の生活をする事実婚が注目されている。日本の伝統的な夫婦のあり方が変化しつつあることについても考察する。
当たり前に結婚する時代から非婚時代に移行しているが、それは個人の選択が尊重されるようになったからではないだろうか。しかし、支援制度や法律のため結婚や出産を諦める人がいるのが現状である。それらを改善し、よりよい社会を構築することが求められるのである。