武田ゼミでは、3年次は自分の関心のある事柄に関する書籍などを読み、書評を書いて発表を行います。私が3年生の時は、4年生の先輩方と一緒に活動させていただきました。学年が違う私にも分け隔てなく接してくださり、時には就職活動の相談にも乗ってくださいました。初めは緊張していましたが、先輩方と一緒だったからこそ学べたことがたくさんあったのでとても良い経験でした。先生がサバティカルを取得される前にはみんなでイタリアンレストランに食事をしに行くなど、非常に楽しい時間を過ごすことができました。
4年次になってからは卒業論文を書くためにより多くの文献を読み、先生との議論を重ねる中で自分の研究テーマに対する理解を深めました。私は先輩方が卒業論文の制作を進める様子を間近で見ていたため、その様子を参考にしながら比較的スムーズに研究を進められたのではないかと思っています。また4年生になってからも、卒業論文の制作だけではなく、先生と都内の美術館を訪れて作品について談義する機会もいただきました。2年間を通じてたくさんの貴重な体験をさせていただき、非常に充実したゼミ活動を行うことができました。
武田ゼミの一番の特徴は、書評や卒業論文を書くにあたって自分の好きなテーマを設定できることです。それぞれの学生が異なるテーマについて研究しているからこそ、知識を共有することができるだけでなく、新たな視点を得ることもできます。先生や先輩方からの疑問に上手く答えることができず、自分の知識不足を痛感することもありましたが、自分の研究テーマについてさらに詳しくなりたいという学習意欲が芽生え、自ら積極的に本を読むなどして学習するようになりました。ゼミ活動を通じて身につけた主体的に学ぶ姿勢は、社会人になった際にも役に立つと思います。
卒業論文について
私は『日本におけるハイドン像の変遷』というテーマで卒業論文を書きました。ヨーゼフ・ハイドンはモーツァルト、ベートーヴェンと並んでウィーン古典派を代表する音楽家です。しかし現代の日本でハイドンの存在はあまり知られていないのではないでしょうか。私はハイドンの知名度が低い点に疑問を持ち、その理由は日本におけるクラシック音楽の受容の仕方に影響を受けたからではないかと仮定して卒業論文を書くことにしました。
論文の作成にあたって大変だったことの一つ目は、ハイドンに関する文献が他の著名なクラシック作曲家と比べてそれほど多くないため情報を探し出すのに苦労した点です。また二つ目に大変だったことは、音楽だけではなく、より多角的な視点からハイドンついて分析するために、彼の生涯や功績、音楽と関連付けて彼の生きた時代について考察することです。そのためには歴史に関する知識も必要であり、多くの書籍を読んで知識を蓄え、それをもとにハイドンとの関連性について自分なりに考察しました。