城殿ゼミ

田上エミリ

 現代では、映画館やレンタルショップに足を運ばずとも、動画配信サービスを利用すれば簡単に大半の見たい作品を見ることができるようになりました。映画に関わらず、SNS上に上がる動画など常に私たちの周りには映像が溢れており、より密接に「映画・映像」と関わる機会が増えていると感じます。
 私たちのゼミでは、「映画・映像」の中に表象される様々な要素を読み解き、比較することで、感性や洞察力を研ぎ澄まし、「映画・映像」に対する学びを深めていくことを目標としています。
 3年次では、城殿先生が講義の中で扱う映画作品を鑑賞し、その作品が持つ多種多様な側面を考察することで映画に関する知識と自分が研究したいと考える主題の枠組みを構築して行きます。前期の授業では、『プリティウーマン』や『トッツィー』を鑑賞し、映画が与える影響力や、ジェンダー的な観点から見ることによって作品の本質を考えました。後期では、『市民ケーン』や『雨月物語』などを鑑賞し、撮影技法や映画監督による特徴的な表現手段などに着目することによって作品に対する知識を深めました。講義の中では、様々な作品が取り扱われ、受講生同士で意見交換が行われることもあります。そのため、自発的に映画を鑑賞し、その作品の詳細や映画監督について調べる習慣を身に付けると講義内容がより把捉しやすくなります。
 また、前期と後期で1回ずつ受講生がプレゼンテーションを行います。プレゼンテーションでは、自分が取り扱う作品に関するパワーポイントを作成し、その作品の映像を見せながら発表を行います。私は前期のプレゼンテーションで、『コンスタンティン』を中心に、アメリカ映画がキリスト教をどのように描いてきたのかを有名な宗教作品を交えながら発表しました。その中で、日本が描いた宗教作品も取り上げ、日本が宗教に対してどのような解釈を持ち合わせているのかを比較しました。後期では、洋画の中に表象される変な日本像をテーマとして、外国が日本に対して持つイメージの変遷と、他者表象が与える影響力に着目して今まで描かれてきた日本像の原因を探りました。
 今年のゼミ生の発表では、差別に関して描いた作品やミュージカル映画、ディズニー映画、ココ・シャネルのドキュメンタリー映画などが取り上げられ、多様な視点と解釈を共有しました。発表の最後には質疑応答が行われるため、テーマに対する考えを深めることや、客観的に自分の発表内容を分析することができます。
 プレゼンテーションは、映画を鑑賞するだけではなく、発表のテーマに合わせて参考文献を読んだり多くの資料を集めたりしなくてはいけないので時間が掛かりますが、自分の探究心を高めることができ、他の人の発表では、様々な作品から多くの見解を深めることができ、新たな視点を得られます。
 鑑賞する作品を決め、視聴するという個人的な行為が、ゼミに参加することにより他者の視点を共有しながら多角的に分析をすることができるため、映画が提供する多彩な表情に触れることができるのがとても面白いです。「映画・映像」について研究したい、興味を持っていると感じている方は是非、城殿ゼミを受講することお勧めします。