卒業論文中間発表概要

3ラウンド・システム理論に基づく英語学習教材―映画Wonderを素材として―

大内涼香

 卒業論文のタイトルは「3ラウンド・システム理論に基づく英語学習教材―映画Wonderを素材として―」である。①教材作成時に使用した3ラウンド・システム理論の紹介、②3ラウンド・システム理論に基づいて自身で作成した教材の紹介、③今後の見通しの3点に焦点を当て、中間発表を行った。
初めに、英語学習教材を作成するにあたって使用した3ラウンド・システム理論を簡単に紹介した。3ラウンド・システム理論とは、千葉大学名誉教授である竹蓋幸生によって開発された日本人英語学習者向けの指導理論である。この理論は、「聞く、話す、読む、書くことの4技能すべてにおいてバランスの取れた英語力を効果的に養成すること」を目的として作られている。そして、この理論に基づいて作成された教材は3ラウンド・システム理論という名前の通り、3つのラウンドから構成される。ラウンドが進むにつれてタスクの難易度は上がるが、その際に学習者がつまずかないよう、助けとなる5種類の情報(事前情報、ヒント情報、参考情報、補助情報、発展情報)が豊富に用意されている。これらが学習者を様々な角度から支える。この理論は、英語力の向上を望む人々にとって有効な指導理論であると判断し、教材作成時に使用した。  次に、3ラウンド・システム理論に基づいて自身で作成した教材の一部を紹介した。今回は作成している英語学習教材がどのようなものなのかを知ってもらうために、教材内の1つのタスク(第2ラウンド)を取り上げ、聞いている方々に取り組んでもらった。まずは映画Wonderのワンシーンを流した。Wonderは、生まれつき顔に障害を持つ10歳の少年オギーが主人公の物語である。オギーは見た目から学校でいじめられることもあったが、友人と助け合いながら過ごす中で成長していく。今回の中間発表では、ジュリアンという生徒がオギーをいじめていたことが発覚し、校長室に呼び出されたシーンを取り上げた。今回の発表では「いじめを行っていたジュリアンは、校長からどのような処分を言い渡されましたか。」というタスクを提示した。このタスクに対して、答えにたどり着くためのヒントを3つ用意した。ヒント1では「いじめは決して許さない」という校長の考えに注目し、これからどのような処分を言い渡すのか想像させた。ヒント2では処分の内容に焦点を当て、さらにヒント3ではより具体的な処分の内容を聞き取るためのヒントを与えた。これらのヒントを基に問題に取り組んでもらい、最終的に「2日間の停学」という答えを導いた。
 最後に、これからの卒業論文執筆の見通しについて述べた。今後の教材作成において、「学習者のニーズに応え、学習意欲を引き出し続ける教材を作成する」という目標を掲げた。学習者がどのような情報を必要としているのかを見極め、学習の継続が期待できる教材を作成していきたいと考えている。