卒業論文中間発表感想

竹内舞衣「旅文化の比較~古代ギリシャ・ローマと江戸時代日本~」に対する感想

小熊玲菜

 自分自身も旅行が好きなのでとても興味深い発表でした。古代ギリシャ・ローマと江戸の比較という点も興味のある地域だったので面白かったです。特に宿泊施設について、古代ギリシャ・ローマでは宿屋は下級層向け、別荘・知人の家は富裕層ということが印象に残りました。現代でも富裕層は別荘に泊まったりしていますが、宿屋が下級層向けということに驚きました。自分も海外の親戚の家でゲストルームに泊まったことがあり、ゲストルームもこの頃の名残なのではないかという考察も面白く感じました。

関口由佳

 全く異なる二つの地域の比較を通して見える両者に通ずる共通点に驚かされた。西洋文明の起源とされる古代ギリシャと庶民の旅文化が花開いた江戸時代において共に、何かを求めて旅をするという行為は人類普遍のものであると改めて感じた。
 例えば、宿屋事情であれば質素な宿屋は身分が低い人が、高級宿は富裕層がというように宿のランクが身分をも表すものだったということも両地域の共通点だと知った。また古代ギリシャではおもてなし精神を意味するフィロクセニアと呼ばれる文化があり、富裕層は別荘や知人の家に宿泊することで接待を受け歓迎されており、主人は旅人を受け入れるために食事やサービスを提供したという。さらに江戸時代にも食事や旅芸人が集まる商人宿や現在の高級旅館にあたる旅籠屋があり、大金を払えば祝宴されたという。道中の疲れを癒す茶屋では甘味とお茶が用意され旅人をもてなしていた。
 このことから両地域における旅事情や当時の人々のおもてなし精神について多く共通しているということが分かり、とても興味深い比較だと思った。

関口里佳

 旅の魅力に溢れた発表だった。とりわけ、西洋文化の原点であるギリシャ・ローマと旅文化が一気に開花した江戸を’’比較する’’というのが興味深かった。両者共に旅をする目的やユニークな持ち物の数々、道中の様子などは違っているものの「モノ」や「人」を通して共鳴しあう想いは共通である、というのが印象的だった。またギリシャ人が醸し出す人間的な魅力が’’おもてなし’’の文化に、江戸では旅の食事が’’古くから愛される名物’’となった歴史が挙げられ西洋と日本の豊かな文化が見て取れる。二つの地域から見えてくる旅文化では、食への喜びと人々の交流があらゆる面で文化を発展させたといっても過言ではないだろう。旅の醍醐味はいつの時代も変わらない事が分かり、私自身も慌ただしい日常に辟易した時にいつでもラフな気持ちで帰りつける場所を留めておこうと改めて感じる事となった。