学生の感想

神守結妃

 中世ヨーロッパ史を海を通して知ることは、とても興味深かったです。先生が講演会中に仰っていた「歴史を学ぶのに、地理に弱い人が多い」というのが本当にその通りで、私も歴史は学ぶのに地理が苦手です。そのため、今回の講演会で、ヨーロッパの海や気候、海流の流れなどを学び、とても勉強になりました。かつてはテムズ川とライン川の流れがつながっていたことや、ヨーロッパの海域が3つに分かれていたことを知り、とても驚きました。海の特徴に合わせて船が作られていたこと、テムズ川は浅く、でこぼこだったために日本と同じ丸木舟が使われたということも興味深いです。また、船に載っていた陶器や石臼を調べることで、当時の貿易ルートが分かるということも知りました。私は、歴史や文化を知ることでヨーロッパについて理解できると思っていましたが、角度をかえて海からヨーロッパを見てみると、知らないことがたくさんあるのだなと思いました。

向井華

 鶴島先生が冒頭でおっしゃっていた「日本人がヨーロッパの歴史を研究できるのか」という問いが強く印象に残っています。私は他国の歴史に関心を持ち勉学に励んでいますが、一介の日本人学生にすぎない私がそれを学ぶことの意義とは何かという疑問が常に頭の片隅にありました。そのため研究者の国籍を問わず、対象国を限定しない「グローバル・ヒストリー」の考え方や、国境に囚われることのない海の研究から、自身の学びにおける新たな側面を発見する事ができました。
 海の権利に関して、クヌート王が領海の権利を定めた対象が「カンタベリ大司教座教会」とされ、かつ修道院が領海を設定し通行税を課すことができたというお話を聞きました。「海」という側面においても宗教権力が強い力を握っていたという点が非常に興味深く感じます。また、船やその積み荷の観点から研究を進めることにより、「8世紀や9世紀にはヨーロッパの南北の海、英仏海峡のつながりがなかったが、10世紀になるとつながるようになった」という大枠が分かってくることから、船の構造や役割、積み荷などによって得られる情報量の多さに驚かされました。