卒業論文中間発表概要

中国における立身出世の伝統とのその思想的背景

田中美蘭

 卒業論文では、中国の歴史において政治的な指導者層に属してきた人々について、その選抜方法や求められる資質に注目する。
 第1章「為政者の資格」では古代中国における為政者の資格について、時代の変遷とともに検討していく。古来為政者の資質として「君子」が理想的であるとされており、その概念について『論語』を通じて確認する。
また、漢代以前の支配者層へ目をむけるとともに、漢代以降に行われた選挙を中心とする官吏登用制度にも着目する。
 第2章では「科挙と官僚」をテーマに、学問と出世の結びつきとその経緯を探る。この科挙導入こそが学問と立身出世を結びつけており、従来の選挙制度とは全くの別物である科挙がどのようにして誕生したのか、その背景について探る。
 第3章「学業と出世」では中国における階級上昇のための手段について、その普遍性を大学入学試験と科挙との共通点、相違点を中心に論じていく。