学生の感想

劉靈均「記憶は忘却を抗うためー台湾LGBT運動と文化:文学と大衆文化」を受講して

長谷ほのか

 私は今回の講演で、台湾と日本のLGBTQ文化について理解を深めることができました。特に、私は男性同性愛表象をテーマに卒業論文を執筆していたため、この講演は非常に参考になりました。
 講演の前に、YouTubeで先生の講義を視聴しました。YouTubeの講義では、主に台湾が同性婚法制化に至るまでの過程を学びました。そして、台湾では婚姻の平等を実現するまでに数々の悲劇的な出来事が起こり、それらが世論に影響を及ぼしたことでようやく同性婚が合法化されたということを知りました。特に、同性婚が認められる前に同性カップルが長く交際したにも関わらず家族としての権利を得られなかったという出来事は印象的でした。この問題は現在の日本でも起こっていることだと思います。今回学んだことで、日本でもこのような悲しみを生まないために法整備が必要であると強く実感させられました。
 講演では、文学に焦点を当ててお話しされていました。そして、「同志文学」は台湾の社会運動にも影響を与えたということを学びました。私は初めて「同志文学」について知りましたが、日本語で読める作品を多く紹介していただけたことで、「同志文学」に触れるきっかけを得ることができました。また、LGBTQを描く映画作品も多数紹介していただき、非常に興味を惹かれました。
 さらに、日本のLGBTQ運動や文化についての解説もあり、それが大変興味深かったです。特に、台湾文学と日本の少年愛との深い関わりを知れたことは卒業論文執筆の上でも参考になりました。
 また、私は、台湾における日本のBLの受容について質問をさせていただきました。台湾では、「花の24年組」と呼ばれる日本の作家たちが描いた元祖BLとも言える作品が80年代頃には流入し、翻訳されたものが読まれていたということでした。台湾における日本のBL作品の流入の時期や過程は、文献では調べきれなかった部分であったため、直接質問できたことでさらに理解が深まり、卒業論文に活かすことができました。
 今回の講演を通して、文学を中心に台湾と日本のLGBTQ文化を学んだことで、大衆文化が社会に与える影響力を感じました。そして、LGBTQを取り巻く現実社会の問題にも目を向けることができました。今後もLGBTQやジェンダー平等について関心を持ち、理解を深めていきたいと思います。