記念講演 感想

10月16日に行われた記念講演会の感想

栗原明里

 「ユダヤ人」と聞くとナチスドイツによるホロコーストの印象が強く、逆にそれ以外の事についてはあまり詳しく知りませんでした。今回の講演では彼らの宗教儀礼や日本との関係、ユダヤ人追放の細かい経緯などについて知ることができ、ユダヤ人とコンベルソという宗教的マイノリティについての理解が深まりました。また、講演の最後のほうで関先生が仰っていた「AIの発展によって言語の壁は解消できても、宗教の壁は解消できない。」というお言葉が非常に印象深く、またグローバル化についても考えさせられる一言でした。
 日本でも以前からグローバル化が呼びかけられ、小学校から英語教育を導入する学校や語学力のある人を積極採用する日本企業が非常に増えています。しかし、例え語学力があってもその国の文化や社会を熟知していなければ本当の意味でのグローバル化は不可能ですし、また語学を習得するにしても、やはりその言語の背景にある歴史や文化、社会を良く理解する必要があると私は思います。さらに日本人は宗教への馴染みが薄いため、グローバル化を進めるのならば宗教に関する学びと理解もより一層深めるべきだと思いました。グローバル化となると日本では語学力を重視する傾向にあると私は感じられますが、関先生のお言葉を聞いて、グローバル化において最も重要なのは語学力以前にその国の歴史、文化、社会、宗教観を熟知することなのだと思えました。
 今回の講演を通して、ユダヤ人とコンベルソについて学べたと同時にグローバル化についても考えさせられ大変勉強になりました。興味深いお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

講演会感想

池谷優奈

 流通経済大学名誉教授である関哲行先生が「中近世スペインのユダヤ人とコンベルソ(改宗ユダヤ人)」といったテーマで、お話をしてくださいました。このテーマについては、ヨーロッパ文化コースで、日頃からキリスト教に関する文化に関心をもってきた私にとっても、興味をそそられるものでした。
 まず、講演の冒頭部分ではユダヤ人に関するデータを関先生が示してくださいました。ここでは、世界の中におけるユダヤ教徒の割合を知ることができたのですが、それらに加えて世界的大企業の創業者にあたる人物が、ユダヤ系の人であったということで、彼らの存在はやはり偉大なものであったと認識しました。
 それから、コンベルソについての話では、彼らが増加したことにより、家庭内でキリスト教徒とユダヤ人、そしてコンベルソが混在するようになり、それまでの伝統的な家族関係が分裂していったことを聞きました。これらは、私からすると実際に想像しにくいことでもありましたが、こういった状態が、「真の改宗者」を生き残らせるために始まった異端審問制度と結び付いたのだと思いました。
 これまでユダヤ人の追放を始めたのは、もちろんキリスト教徒であると思っていましたが、今回コンベルソという改宗ユダヤ人の存在を知ったことで、新たな見方を得ることが出来ました。また、キリスト教とユダヤ教という宗教は、実は切りはなすことができない関係であるということを学び、ユダヤ教のことを知ることは非常に重要なことであると思いました。かなり盛沢山の講演で、全ての話についていくことは難しかったですが、これまでの授業でも聞いたことがないような話も聞くことができ、素晴らしい時間となりました。ありがとうございました。