行田ゼミ

3ラウンド・システム学習理論に基づく英語学習教材
 -映画 The Truman Show を素材として-

正林恵

 英語を話せるようになりたい。誰でも一度は思ったことがあるのではないか。1日に一回は英語学習アプリのテレビCMを目にするし、電車でも英会話教室の中吊り広告を多く見かける。このことから英語を習得したい日本人はかなり多いのではないかと考えられる。私自身も海外旅行に行った時など英語を話せるようになりたいと思う瞬間は多々あった。しかし振り返ってみると、小学5年生から英語の授業が始まり、大学4年生まで12年間も英語を学習してきた。これほど長い間英語の授業を受けてきたにもかかわらず、なぜ英語を使いこなせないのだろうか。大学の英語の授業でCALL教材を学習し、「3ラウンド・システム学習理論」について知ると、これまで行ってきた英語学習の問題点と新しい英語学習方法を知ることができた。高校までの英語の授業とは全く異なる英語学習方法を体験し、英語学習のハードルが下がったと実感したことから、3ラウンド・システム学習理論に興味を持ち、本論文のテーマとするに至った。
 3ラウンド・システム学習理論というのは竹蓋幸生千葉大学名誉教授によって提唱された英語の学習方法である。従来の日本の教育では、中学から英語の義務教育が始まり、大学まで10年間も英語を学習が行われている。それにもかかわらず、英語に苦手意識を持ち、日常会話もままならない人が多い。竹蓋は、その一因が教育方法にあると考え、新しい英語教育システムとして3ラウンド・システム学習理論を提唱した。
 本論文では、ジム・キャリー主演の映画The Truman showを素材として3ラウンド・システム学習理論に基づく英語教材を作成した。素材とした映画の主人公はごく普通の会社員である。平凡な人生を送ってきたはずが、実は巨大なセットの中に閉じ込められていて、リアリティー番組として全世界に放送されているという話である。主人公を演じたジム・キャリーはコメディ俳優としてのイメージが強いが、本作ではコメディ要素の少ない平凡な主人公を好演した。映画前半では主人公の平凡な日常が描かれているが、後半ではストーリーも山場を迎え、引き込まれるような場面が多い。主人公を応援したくなるような展開になっている。 そのため、日常でも使いそうな英語をストーリーも楽しみながら学習できると考え、素材として採用した。本論文で実際に作成した教材のchapter1では、主人公が友人に相談する場面を選んだ。また、chapter2、chapter3は映画の中でも重要な場面を使用している。
 本論文は次のような構成となっている。第一章では、竹蓋の論文を参考に3ラウンド・システム学習理論について説明する。第二章では、教材の素材として使用する映画The Truman showの説明をする。第三章では実際に作成した教材を提示する。