ジョンソンゼミ

歴史から見るーアメリカの医療保険体制―

磯野美久

 本論文では、アメリカの建国から現代までの医療保険体制の歴史を見ていき、新型コロナウイルスの流行によって、さらに問題が浮き彫りとなったアメリカの医療保険体制について今後、アメリカの医療体制の見直しが必要・可能であることを明らかにしていく。そして、アメリカだけではなく日本の医療保険制度や医療費の比較をすることで、わかりやすく明らかにしていく。
 第1章では、アメリカ医療保険体制への他者からの意見について説明していく。第2章では、現在のアメリカの医療保険体制、アメリカが抱えている問題について研究する。2-1では、アメリカの建国からアメリカという国が創り上げられる過程を説明する。さらに、歴代のアメリカ合衆国大統領が行ってきた民間医療保険・公的医療プログラムの政策について説明していく。2-2・2-3では、アメリカ合衆国第44第大統領となったバラク・オバマが行った改革「オバマケア」について説明していく。2-4では、この改革をめぐっては様々な意見があった。その反対派の主張を説明していく。2-5では、オバマケアによる中流階級への影響、2-6では、メディケアとメディケイドへの影響、2-7では、医師への影響、2-8では、経済・国家財政への影響、2-9ではアメリカ例外主義への影響という、各分野への影響について説明していく。2-10では、オバマケアに対して違憲であると訴え、その判決内容について説明していく。第3章では、アメリカの治療における、高額支払い事例をまとめた。
 第4章では、今後、アメリカの医療保険体制が改善されないと4つの問題が発生すると考え説明している。第一に、無保険者が存在することにより、現在のアメリカでは問題視されていない少子高齢化、人口減少が問題となっていくことについて、体験談を参考にしながら説明していく。第二に、今回の新型コロナウイルスのような予想していなかった病気が流行した際に、医療を受けなければいけない人が保険に入れていないことで適切な治療を受けられないことにより、感染拡大につながる。また、アメリカではワクチンの開発・生産・接種により、医療崩壊・経済停滞は免れたが、人口が日本と比べ物にならないほど多いアメリカでは職・生活を失う人も比べ物にならないほど多いだろう。第三に、医療の発展に伴い平均寿命が延びている現在、生きている中で病気・けがをしないということは不可能に近いということである。第四に、ジャンクフードを好むアメリカでは肥満な割合が多く、これによって引き起こされる病気の多くは長期間の治療や、治療費が高額になってくる。保険に入っていない、保険に入っていても保険内容が手厚くないと自分では支払えなくなってしまう。私は生きていく中で保険の加入は必要だと考え、オバマケアの拡充は賛成である。アメリカの医療品価格の見直し、診療報酬の見直しにより医療費の高騰を抑え、アメリカ市民が医療サービスにアクセスしやすい体制を作ること、不法移民の対処、最終的には国民皆保険制度を導入し、無保険者ゼロを目指すべきだと考える。終章では、本論文では解決できなかったことについて述べる。