銭ゼミ

田口綾音

 広大なアジア文化の比較研究にはまだ未開拓の分野が多いです。そのため、東アジア諸国では未だに歪んだアジア像があり、特に中国と日本ではお互いの文化をしっかりと把握できていません。
 銭ゼミでは、アジアがアジアを視る、アジアから視る、アジアを欧米から視るという三つの視点から、中国とアジアを再認識します。中国とアジアを知ると共に、日本との関係も模索していきます。
 三年の前期では、多文化主義、文化相対論を通して比較文化研究の楽しさを学びます。一冊の本から各自テーマを選び、レジュメを作成し発表します。最初は要約の仕方、問題提起などにとても悩まされました。どこが重要なのか、何を調べるか、どこで調べるかなど、ほとんど何もわからない状態から始まります。ようやく完成したレジュメも、先生の解説を聞き、自分が要約に書き入れなかった部分の重要性に気づかされることがありました。先生のご指導のもと、要約の仕方や調べ方を教えていただきました。
 三年の後期では、自分で卒業論文のテーマを考えます。それと並行して、グループでの共同発表もあります。テーマ発表では、卒業論文のメインとなるテーマを決めます。これが最終決定ではないため、他のゼミ生の発表を聞くことや自分で調べるなどして、テーマを変更しても問題ありません。発表後は、先生とゼミ生から指導やアドバイスをいただきました。卒業論文を書く際の参考文献の探し方、考察の仕方から、テーマに関する歴史的背景、現在との関連性などを教えていただきました。また、他のゼミ生の関心や問題意識を知ることにより、自分の関心や知識の幅が広がり、理解力も高まりました。グループ発表では、人種、民族、異人などを通して、アジアの比較研究における基礎知識を学びます。前期と同様に資料のレジュメを作成し発表します。前期で学んだ方法を活かす場ですが、グループメンバーが毎回異なるため、協調性や統率力も必要とされます。しかし、コロナ禍で対面が難しい状況でありながら、ゼミ生同士の交流ができる良い機会だと感じました。
 歴史・文化だけでなく、政治・経済など現在の東アジア情勢を把握できるのも銭ゼミの特徴です。先生が主に中国と日本に関連するニュースを取り上げます。私たちは日々刻々と変化する東アジア情勢に目を向けなければならない中、先生の意見や観点を踏まえながら学ぶことができます。
 ここまで読むと、堅苦しい雰囲気のゼミだと感じる人もいるかもしれませんが、ゼミの雰囲気はとても穏やかです。先生含めゼミ生も和やかな人が多いです。各自が意見をしっかりと持ちながら、相手の主張を理解し受け入れます。お互いに刺激を受け、みんなで高みを目指していくのが銭ゼミです。