三ラウンド・システム理論に基づく英語学習教材 - 映画『イエスマン』を素材として-

竹中唯

行田ゼミ

 本論文では、日本の英語教育の現状改善のために開発された学習理論を採用し、新しい英語教育のための提言をする。具体的には、三ラウンド・システム学習理論に基づき作成した英語教材の提示をする。
 三ラウンド・システム学習理論は、日本の英語教育の改善に向けて、竹蓋幸生によって開発された。日本人学生は、小学生のころから英語を習い、英語を話せるようになりたいと思う人がたくさんいる。それにも関わらず、世界的な基準で見たときに、日本人学生は英語力が低いといわれている。竹蓋は、学習方法に問題があるのではないかと考え、三ラウンド・システム学習理論を開発した。この理論は、典型的な日本人英語学習者をターゲットにしている。段階を踏みながら徐々に英文を理解し、少しずつ難易度を上げていくことで、学習者のペースに合わせるという工夫がなされている。学生たちの英語学習を大きく変化させ、たくさんの学習者たちに大きな影響を及ぼしているという実績がある。三ラウンド・システム学習理論に基づいた教材は、映像や音声で学習に取り組み、また自分のペースで学習を進められることから、無理なく楽しく学習に取り組む工夫がなされている。
 日本人学生が英語に対して前向きになれない理由の1つに、教材が面白くない、楽しくないという意見がある。そもそも教材化されている素材や題材自体に興味が持てないものが多い。さらに学習方法にも問題がある。従来の典型的な学習方法、とりわけ受験のための英語学習法は、教科書の英文を読んでその和訳をひたすらノートに書き写すといったいわゆる「文法訳読方式」である。これでは「英語の勉強がつまらない」と感じてしまう。そこで、本論文で教材を作成するにあたり、学習者に対して少しでも楽しく学習に取り組んでもらうことを目的として、素材として映画を使用した。映画を使用することで教材に興味を持ってもらい、楽しく学習に取り組んでもらうことが可能となる。様々な候補の中から、今回は『イエスマン』という映画を選定した。この映画は人気俳優ジム・キャリー主演のコメディ映画である。内容もとても前向きな気持ちにさせてくれる映画である。
 本論文の構成は次の通りである。第1章では、日本での英語教育や英語教育の実態を分析をし、竹蓋の三ラウンド・システム学習理論について説明している。第2章では、教材作成の素材として使用した映画『イエスマン』のあらすじと、登場人物及び演じた俳優の紹介をしている。第3章では、三ラウンド・システム学習理論に基づいて作成した教材を提示している。今回作成した教材は全部で3種類である。