城殿ゼミ

大野多恵

 城殿ゼミは映画や映像を通して、各国の文化を比較、研究するゼミです。
 3年次の「比較文化演習」では、講義の他に前期と後期に合わせて1人2回プレゼンテーションがあります。発表後の質疑応答の時間では、自分とは異なる視点から見た意見や、もっと調べるべき点を知る事が出来るので、卒業論文に繋げる事が出来ます。前期は自分の好きな映画を取り上げ、後期は、卒論で扱いたいテーマに沿ってプレゼンやレポートを書きました。早い内から自分の興味関心のあるテーマをいくつか定め、資料を集める事が出来るので、余裕を持って卒論に取り掛かれます。勿論、始めはテーマを決め兼ねてどうしようかと悩んでいましたが、先生が1人ひとりと相談をする時間を設けてくださるので、そこでテーマを固めていきました。
 4年次の「比較文化セミナー」では、3年次で学び調べた事を基に卒論の執筆を行いました。例年の様に、先生やゼミ生と直接意見を交換する事が困難な状況の中で不安もありましたが、先生が卒論作成法の解説動画を製作し、配信してくださったり、オンライン面談の実施やmanabaの掲示板で相談したりと、フォローしてもらいながら執筆を進めていきました。
 私は卒論でアメリカにおけるLGBT 映画の歴史をテーマに書きました。『セルロイド・クローゼット』という1本の映画を観て、今や同性婚も認められているアメリカのハリウッド映画でかつては同性愛的な表現に厳しい規制があった事を知り、興味を持ちました。
 1916年〜現在までの映画を何本も見て、演出や台詞などから同性愛がどの様に受け止められていたのか、そして、どの様に受け入れられる様になったのかを研究しました。その時代毎に起こった社会運動や事件、エイズ危機、同性婚論争などの社会的な背景を当時の映画と比較し、お互いにどの様な影響を与えていたのかを読み取りました。社会的背景との関連性を示すためには根拠が必要なので、何度も映画を見直しては、監督の意図を汲み取ろうとなぜこうした演出をしたのか、どういう意味があるのか、などを考察する作業が大変でしたが、見た事の無かった昔の映画を見るきっかけになったので楽しかったです。
 因みに、ゼミの志望動機は2年次で城殿先生の授業を選択した事がきっかけでした。映画をシークェンス毎に分析し、撮影方法や演出による効果などを学びました。見方を変え、映画を深く理解する事でこんなにも様々な情報を受け取る事が出来るのか、と驚きました。そこで、映画から読み取る事の出来る製作当時の社会的・政治的背景をもっと知りたいと考え、城殿ゼミを志望しました。
 ゼミ生は全員で13名おり、皆勉強熱心で、卒論にも意欲的に取り組んでいます。城殿先生は、豊富な知識と経験で、いつも的確なアドバイスをしてくださります。
 映画は、その国の文化や価値観、社会情勢など非常に多くの事が学べ、観ると自分の世界が広がります。映画や舞台に興味をお持ちの方は、是非、城殿ゼミで学び、映画を様々な観点から見る目を養い、感受性を高めていってください。