米塚 真治 (教授) Yonezuka Shinji
自分の中に核となるテーマを持つこと。日々の体験や、他の人たちとの会話を通じて、それを更新していくこと。どちらも大事です。
アメリカ文学・文化、文学理論
火曜日5時限目
主に20世紀後半から現在までにアメリカで発表された小説を題材にして、「フィクション」という形式がどのような力と有効性を持つかを追究してきました。「同時代の普遍的困難や課題を、縮減せずありのままに、かつ長いスパンのもとに提示しうる能力」というのが、その問いへの暫定的な答えです。
論文では小説のほか詩や映画、文化史も扱っています。歴史学、社会学、ジェンダー・スタディーズなど、文学に隣接する学問分野の研究成果も十分に取り込み、「現在の日本に生きる人々に対して問題提起できる研究と教育」を常に意識しています。
アメリカの劇作家・小説家のソーントン・ワイルダー(Thornton Wilder, 1897-1975)は、第二次世界大戦のさなかに戯曲『危機一髪』(The Skin of Our Teeth, 1942)を書きました。戯曲の後半には、古今の哲学者・思想家による名言が数多く引用されています。人類が危機を生き延びる術は、それらの名言のような「過去の人々の叡智」に耳を傾けることにあると劇作家は考えたのです。この授業も過去の時代の作家・詩人や芸術家を多く扱いますが、同じような叡智を提供できたらと願っています。
「文学」に関しては、時代ごとにテーマを設定し、それを代表する作家や詩人の生き様、作品の特徴、主要作品の紹介と引用、という流れで解説します。「芸術」に関しては、当該ジャンル(たとえばルーツ・ミュージック、ジャズ)のなりたちや展開を、代表作の音や映像、画像をまじえて紹介します。
アートとエンターテインメントとの間の垣根が低いことは、アメリカ文化の特徴のひとつです。シリアスな社会問題や、自国への批判など、「耳が痛い」テーマを扱っても娯楽作品として成立し、ビジネスとしても成立します。この特徴は、アメリカ文化がグローバルに浸透していくのに、どう有利に作用したでしょうか。また、その根底に、アメリカ人が古くから親しんできた、どのような思想があるでしょうか。社会派のエンターテインメント映画やドキュメンタリー映画を題材にして発表し、議論します。それを通じて、日本の社会がどういうしくみでできているかも、学び直します。
新カリキュラム | 旧カリキュラム |
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比較文化演習I・Ⅱ | 比較文化演習15-I・15-Ⅱ |
アメリカ文化研究EI・EⅡ | アメリカ文化研究EI・EⅡ(文学) |
英語セミナーDI・DⅡ(発展) | 現代英語上級セミナーI・Ⅱ |
英語セミナーAI・AⅡ(理解) | 現代英語中級セミナーAI・AⅡ(理解) |
比較文化セミナーI・Ⅱ | 比較文化セミナーI・Ⅱ |
アメリカ研究入門CI・CⅡ(文学と芸術) | |
Fundamentals of Reading I(大学院) | |
文学と理論(作者・テキスト・読者)(大学院) | |
英米演劇Ⅱ(大学院) |
区分 | 著書・論文名等 | 掲載誌・発行所等 | 発行年月 |
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論文 | アーシュラ・K・ル=グウィン「教授の家」講義 | 「大妻レヴュー」32号 71-85頁 | 1999年7月 |
翻訳(単) | アニー・プルー『ブロークバック・マウンテン』(翻訳) | 集英社文庫 | 2006年2月 |
論文 | 曖昧な記憶、一貫した筋—『ブロークバック・マウンテン』原作から映画へ | 「大妻レヴュー」39号 67-77頁 | 2006年7月 |
論文 | 「郊外化」を脱構築する—ジョン・チーヴァー「橋の上の天使」 | 「大妻レヴュー」41号 19-30頁 | 2008年7月 |
論文 | 遅くに人生を学ぶこと—バーナード・マラマッド「かつら」に見る女性の人生とハゲ | 「大妻比較文化」21号 115-131頁 | 2020年3月 |
論文 | シカゴとモダニズムーイマジズム詩の都市表象 | 「大妻比較文化」26号 51-73頁 | 2025年3月 |
日本アメリカ文学会、アメリカ学会、日本英文学会