サバティカル報告2

体験する必要性

貫井一美

 今年度は4月1日から9月14日まで研究休暇をいただきました。6月まで集中講義をしたのち、例年よりも一ヶ月早い7月から9月初旬までマドリードを拠点にスペインに滞在することになりました。滞在中は例年通りの図書館での資料検索、美術館での作品確認などの日本では不可能な作業を行うことができました。また、いつもより長い滞在期間を利用してアンダルシア地方(グラナダ、コルドバ、セビーリャ)を巡ってきました。
 特にコルドバ近郊のメディナサーラの発掘現場と博物館は長年の懸案だった場所で、イスラム陶工たちが窯を築いてタイルや陶器の焼成を始めた場所だと言われています。イスラム教とキリスト教、全く異なる文化が出会ってどのように異なるものと同化していったのかを考える上でその第一歩の場所に実際に立って自分の目で当時のメディナサーラがどれほどの規模か、どのように栄えていたかを少しでも感じてみたいと思っていたからです。また、ベラスケスの生まれ故郷であるセビーリャは新大陸への窓口でもあり、大西洋の真珠と言われるまでの繁栄を極めた街だったのです。何回か訪れていますが、また新たな発見がありましたし、セビーリャの県立美術館や「ピラトの家」は17世紀のセビーリャの繁栄をよみがえらせてくれる場所でもあります。
 酷暑を乗り越えて行っただけの実体験をしてきました。文献だけでは解決しない様々で具体的な問題を提示された旅でした。宿題を山ほど抱えてマドリードに戻りました。
 今回のサバティカルを通してまた新たな研究課題と向き合う機会をいただき、あらためて感謝申し上げます。