江頭ゼミ

男女脳と会話スタイル

小野和泉

 この論文の構成は以下のようになっている。第1章は「論文の目的と構成」,第2章「タネンの分析」は,第3章は「日本における男女の話し方の現状」そして第4章「男女脳による会話スタイル分析」である。この論文は,現代日本人の男女の会話スタイルがどのようになっているかを分析するにあたり,基準としてタネン(Tannen, D)の男女の会話の分析を採用した。そのため第2章ではタネンによる “Report-talk (男性の会話スタイル)”と “Rapport-talk(女性の会話スタイル)”を詳細に記述した。第3章では,実際の日常生活の中で収集した男女の会話の中に,タネンの主張がどれほど反映されているかを検討した。結果はタネンの主張が現代日本人の会話スタイルに反映されている一方,反映されていない発話が見られるというものであった。なお,収集したデータは,性別と年齢差にバリエーションを設けてある。第4章では,第3章での記述がどのように説明できるかを,茂木健一郎による男女の脳の機能の観点から説明した。茂木は男性の脳の特徴として,「リスクテイキング脳」など,女性の脳の特徴として「共感脳」などをあげているが,これらによってタネンの主張を反映した男女の会話は説明が可能であった。そして,タネンの主張を反映していない発話については,ジョエル&ヴィハンスキーが主張する「モザイク脳」で説明可能であった。この2点が導き出された結論になるが,男女の社会的役割が変わりつつある未来においては「モザイク脳」が占める割合が多くなり,男女の話し方が大きく変化する可能性があることを予測した。