現在、韓国化粧品は韓流ブームと共に突発的な広がりを見せており、幅広い層が手に取り使用している。低価格で高効果という特徴を持つ韓国化粧品は、2000年代頃から日本市場でも受け入れられるようになり、韓国化粧品は様々な流通チャネルを介して私たちの手元に届いている。
現在、街中やインターネット上で韓国化粧品を見かけない日はないと言えるほど、韓流ブームを背景に韓国化粧品の広がりは顕著である。多くの人が韓国化粧品を日常的に手に取っている状況は、単なる短期的なの流行として片付けられない、一つの社会現象となっている。特に、2000年代頃から韓国化粧品のコストパフォーマンスの高さが注目され、日本市場においても、従来の国内ブランドとは異なる新たな選択肢として受け入れられてきた。この普及を後押ししたのが、企業が採用した戦略である。様々な流通チャネルを巧みに組み合わせて展開することで、韓国化粧品は急速に私たちの生活に浸透した。
そこで、私は韓国化粧品市場や韓国化粧品企業のマーケティング戦略に関心を持った。本論文では、このような韓国化粧品が示す国際的な競争優位性の実態を明らかにし、欧米の化粧品企業との比較から、韓国化粧品の突発的な広がりの特徴を解明した。
第一章では、日本・中国・韓国・欧米にまで視野を広げて、シンガポールにおけるTSI分析をすることでどの品目に輸出競争力があるのかを検討した。韓国の輸出競争力は、他の比較した国と比べ、化粧品市場が遅れて拡大したこともあり、急な上昇を見せてはいるが、トップの輸出競争力を持つ品目をまだ持つにはいたっていないことがわかった。
次に、国内ブランドを海外市場向けに拡張するアモーレパシフィックなどの韓国化粧品企業を取り上げ、アジア地域におけるローカライズ戦略の事例分析を行った。その結果、アモーレパシフィックは各ブランドの特性に応じて、グローバルなブランドイメージの維持と現地市場への適応を両立させる戦略をとっており、各々のブランドがイメージを変えずに、地方の特性に合わせて製品のチョイスを変更や宣伝方法を調整してマーケティングをしていることを明らかにした。
第二章では、アモーレパシフィックのマーケティング戦略を取り上げた。「組み合わせ型」のブランドの枠組みに位置するアモーレパシフィックとロレアルのブランド・ポートフォリオの比較から、韓国化粧品企業と欧米化粧品企業でのブランド戦略の相違点を見い出した。アモーレパシフィックは特殊性による差別化で顧客ニーズに細かく対応し、カニバリゼーションを回避しているのに対し、ロレアルは世界標準での認知度を持つ程度のブランド力により化粧品市場で高いシェアを占め重複を許容していることが判明した。
本論文の結論として、三点挙げられる。一つ目は、韓国化粧品市場は急成長を遂げたものの、その競争力は他国の化粧品市場と比較して安定性に欠けていることである。二つ目は、個別ブランド戦略と「組み合わせ型」のブランド戦略をとっているアモーレパシフィックが、ローカライズ戦略によって、製品ブランドのアイデンティティを変更せずに柔軟にグローバル化しているということである。三つ目は、今後の韓国化粧品市場の成長は、個別ブランドが「特殊性を備えた世界標準化されたブランド」へと進化できるかにかかっているということである。