2021.10.20

比較文化学会記念講演会が行われました

2021年秋の大妻女子大学比較文化学会 記念講演会が10月16日(土)に開かれ、スペイン史がご専門の関 哲行先生(流通経済大学名誉教授)に「中近世スペインのユダヤ人とコンベルソ(改宗ユダヤ人)」と題してご講演いただきました。18日からの対面授業本格再開の直前だったため、Zoomによる同時配信となりました。
かつてイスラム教徒に共生を許されていたユダヤ人たちは、イベリア半島のキリスト教化に伴い、排除されるようになる。ユダヤ人の上層部は、キリスト教に改宗することで排除を免れようとしたが、それでも「偽装改宗」の疑いをかけられてしまう。生き延びるために、彼らは「異端審問」の制度をキリスト教徒側に提案する。けれども、これは結果として自らの首を絞めることになった。ただし、審問にはそれなりの公正さが確保されており、改宗ユダヤ人たちの情報交換の場にもなっていたといいます。
二時間に及ぶ熱のこもった講演で繰り返し強調されたのは、ナチスのような反ユダヤ主義は、けっして突然に出てきたものではないこと。そして、生き延びるための「情報」の重要性でした。
学生からの質問に答えて、関先生は「異なる宗教の人が隣にいる前提で考えよ」というメッセージをくださいました。関先生、ありがとうございました。